POE形浄水器設置に関する自治体の対応調査
 〜 設置に関する要求事項、提出書類等の調査 〜
2021年9月 一般社団法人浄水器協会 POE研究会

1-1 調査目的

本調査は、POE形浄水器の設置に際し、各自治体における規定についての調査を目的とした。

POE形浄水器は他の浄水器と設置形態が異なり、水道メーター直後に設置され、家屋の給水を全て浄水化することを目的とする連続式(T形)に分類される浄水器である。

使用者からは家屋の水栓から吐出される水は全て浄水にしたいとの要求があるが、水道法では水道事業者に対し衛生上必要な措置を施すこととされている。

POE研究会では、POE形浄水器を設置する際、各自治体における種々規制に関する実態を調査し、POE形浄水器を取り扱う事業者が、設置に際し必要な手続きや法令を遵守するための共有情報として、まとめることとした。


1-2 調査設計

対象自治体:全国47都道府県における人口※120万人以上の115都市(※21企業局を含む)

※1:総務省発表の「日本の統計2019 第2章人口・世帯 2-3都市別人口」より中核市要件である人口20万人以上の都市とした。

※2:千葉県企業局管轄地域
千葉市を調査の際、千葉県企業局管轄地域の規定が千葉市とは別に記載されていたため、情報として20万人以上の都市にプラスして集計した。

調査期間 :2019年8月1日〜2021年3月31日

調査方法 :以下の方法により、委員会委員で分担して調査した。

@自治体のホームページより

A電話による問い合わせ

Be-mailによる問い合わせ


1-3 調査内容

以下の内容について調査した。

(1) POE形浄水器の設置についての見解 

(2) 届出が必要な場合の内容

・宛先

・届出をする者

・提出が必要な書面の名称又は形式

(3) 遊離残留塩素に関する規定

 
1-4 調査結果

(1) POE形浄水器の設置についての見解

設置に際し申請書をはじめ種々書類の提出規定の有無について集計した。

@設置に際し、何らかの書類が必要な都市は115都市のうち、個別対応も含めると110の都市が必要とのことであった。

A110の都市が書類提出など規定に基づく手続きにより許可される一方、「基本的に許可しない」との見解を示された都市は、1都市であった。理由は「残留塩素濃度が変化してしまう可能性があり水道水質が保全されない懸念があるため」とのことであった。

B特別申請が必要無いとの回答を得た都市は4都市であった。「関知しない」という見解に付け加えて、設置者の「自己責任」という記載も窺えた。

C個別対応との回答があった都市は7都市であった。


(2) 届出が必要な場合の内容

1-4 (1)で「有り」及び「個別対応(事前協議等)」の場合、提出書類の種類、要件について集計した。

@書類名は若干異なるが、「誓約書」の提出を求める都市が多く見受けられた。水道局の水質責任範囲は、浄水器の上流側までとの見解によるものであることが調査結果に記載されている。

A自己認証登録又は第三者認証取得によることを要件としている都市も見受けられた。

B上の表中 6)、7)は施工における要求事項であり、6)については各都市が定めた施工基準によることを設置基準としている。


(3) 遊離残留塩素に関する規定

・水道法に基づく衛生性の確保として遊離残留塩素を保持する旨の規定に関連して、給水管の遊離残留塩素確保の規定の有無について集計した。

@調査結果から、「遊離残留塩素に関する記載 有り」と明確に示された都市は30都市であった。しかし、設置に際し、規程として配布される書類など、例えば各都市が定める”施工基準”の類に遊離残留塩素の確保に関する記述がないか注意が必要である。

A濃度については、規定していた30都市のうち29都市は0.1mg/L以上との規定であったが、「残留塩素を50%以上除去しないことの証明が必要」とされているものが1都市あった。