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家庭用浄水器は、1999年(平成11年)、当時の通商産業省(現・経済産業省)により、「家庭用品品質表示法」の表示品目に指定されるとともに、その品質性能などに関する表示のあり方が定められ、独立行政法人製品評価技術基盤機構に「家庭用浄水器試験方法」の策定を要請し、JIS S 3201としてこの規格が制定されました。(2004年に改正) その後、市場の変化、技術的課題などにより、旧規格に定める試験方法では十分に対応できない項目が発生してきたことから、一般社団法人・浄水器協会は、同規格の改正を経済産業省に依頼するとともに、JIS原案を作成して経済産業大臣に申出、日本工業標準調査会で審議議決され、平成22年3月23日付けで公示されました。 以下に本改正についての要諦を示します。
JIS S 3201 改正の趣旨
この規格制定以来懸案となっている実務運用上の課題を整理して,家庭用浄水器全般にかかわる事項,逆浸透膜浄水器特有の事項などについて改正を行った。
a) 浄水器協会は,浄水器協会内に規格改正原案作成委員会を設置し,規格の改正原案を検討した。消費者保護行政の積極的な推進方針を考慮して,規定内容の全体を通した見直しのほか,逆浸透膜浄水器の実態などを踏まえた逆浸透膜の品質仕様に留意した試験方法の改正を提案し,検討を行った。
b) この規格が,かねて市場において果たしてきた浄水器の信頼性確立に対する寄与は極めて大であり,浄水器の性能を正しく表示するための試験方法に関する規格が策定され,浄水器に対して明確な姿勢が示されたことは,消費者保護の観点からもその意義及び効果は非常に大きい。しかし,家庭用浄水器の上市以来,依然として"浄水器"に関する消費者苦情件数は上位にあり,海外からの輸入製品も多様になっている。また,飲料水への要求レベルが高くなり,浄水器が今後ますます広く利用される状況が予想される。そのため,消費者はもとより,製造及び取扱業者,試験機関などの間で誤解,誤使用が起こらないよう,試験方法の全体を通して記載内容を見直した。
c) 家庭用逆浸透膜浄水器に関する試験方法の確立について
1) 2004年のJIS S 3201改正では,家庭用逆浸透膜浄水器について検討されたが,時間的,経済的な制約のため試験データが十分に取れず,問題が残り,その取扱いについて今後の課題とされた。
2) その後浄水器協会では,逆浸透膜浄水器の取扱事業者,特に,輸入事業者が増えてきている動向にかんがみ,会員外の事業者にも参加を要請して,逆浸透膜浄水器についての製品の実態,品質表示の適正化について検討した。
3) 市場の実情としては,既にインターネット上でも多数の事業者による逆浸透膜浄水器の宣伝が多様に掲載され,海外製品の進出も増加している。こうした状況を考慮して,逆浸透膜の仕様によって基本性能を確認することにした[附属書J(規定)逆浸透膜浄水器の逆浸透膜エレメント及びモジュールの評価方法]。そして,これを前提に,別途収集した新たなデータを活用しつつ,浄水器としての性能を試験する方法を検討した。
[1] ろ過能力試験の方法
浄水器の総ろ過水量を判定するためにろ過能力試験の試験方法を明確にした。これまでの試験方法は,分析に時間を要する項目の場合など場合,一定の除去率に達したときの総ろ過水量を求めると誤差も生じやすく,時間・労力を要した。そこで,今回の改正では,あらかじめ設定したろ過水量に達したときの除去率を求め,その除去率が一定の値以上である場合は,その設定したろ過水量をろ過能力とすることができるとした。これによって当該浄水器のろ過能力を明確に把握でき,試験に要する時間・費用も合理化できる。
[2] 附属書J(逆浸透膜浄水器の逆浸透膜エレメント及びモジュールの評価方法)の追加
逆浸透膜は,従来,海水淡水化などに使用されており,水道水を対象とする家庭用浄水器に使われるようになってきたのは,我が国においては近年のことである。逆浸透膜の特殊性を考慮し,家庭用浄水器などに用いられる逆浸透膜が一定の機能,性能をもつことを確認するため,附属書としてその評価方法を規定した。この場合,評価方法は,JIS K 3805(逆浸透エレメント及びモジュールの性能試験方法)に準拠した。
[3] 試験方法の追加
試験方法の追加に関する事項及び内容については,次のとおりとした。
a) 最小動水圧試験(本体の6.2) 家庭用品品質表示法に基づく表示項目であるが,この規格に定義されていなかったため,用語及び定義を規定するとともに試験方法も規定した。
b) 回収率試験(本体の6.3) 逆浸透膜浄水器の使用上の注意として表示することになっている"回収率"について,用語及び定義を規定するとともに試験方法も規定した。
c) 逆浸透膜浄水器の逆浸透膜エレメント及びモジュールの評価方法の追加(附属書J) 逆浸透膜エレメント及びモジュールの評価方法を追加した。
<試験方法の改正>
試験方法の改正については,次のとおりとした。
a) 回分式浄水器のろ過流量試験方法[本体の6.1 c) 1)] 給水タンクに注水した原水がすべて貯留タンクへろ過されるまでの時間を計測する方法から,貯留タンクを除いた状態で,ろ過が終了するまでの時間を計測する方法に改めた。
b) 原水の調製 試験項目及び除去対象物質ごとに,妨害物質を除くという観点から,有機体炭素(TOC)及び電気伝導率で水質を管理することとした。
c) ろ過能力試験の試験方法[本体の6.5.1 b) 及び6.5.2 b)]
解説の3.2で示したとおり,新たに,あらかじめ設定したろ過水量に達したときの除去率を求め,その除去率が一定の値以上である場合では,その設定したろ過水量をろ過能力とすることができるとした。
なお,一定の除去率とは「家庭用品品質表示法」においては,80%と規定されている(5.b)参照)。また,通常1日の通水時間は5〜7時間とした。
d) 遊離残留塩素測定方法−DPD吸光光度法(附属書C) 結合残留塩素は,この規格において試験対象としていないため削除した。
e) CAT分析方法−ガスクロマトグラフ分析法(附属書E) フロリジルクロマト管及びシリカゲルクロマト管は,この規格の試料分析には不要と考えられるため削除した。
f) 2-MIB分析方法−GC/MS(パージ・トラップA法)(附属書F) 処理操作を一部変更した。
g) 2-MIB分析方法−GC/MS(パージ・トラップB法)(附属書G) 窒素バッグは,この規格の試料分析には不要と考えられるため削除した。その他,処理操作を一部変更した。
h) 濁度の測定方法(附属書I) レーザー散乱光測定法を追加した。
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